あなたは「流れ」を感じたことがあるはずだ。それはどんな流れだってかまわない。木の葉を載せてさらさら流れる川の流れでも、渋滞に巻き込まれてまったく進まない車の流れでも、いま流行りのファッションや話題だっていい。どんな流れも、ひとりではその流れをどうこうしようなんてできないはず。川の流れをせき止めても、すぐにあふれて何事も無かったかのように川は流れていく。
 
これは、この世界とは非常に近くて、だけど決定的に違う別の世界の物語。その近未来的な舞台の上で、ただ淡々と流れていく六か月間のうちのたった何日かを抜き出しただけの、小さな物語。彼ら彼女ら自身のひとつひとつの流れと世の中を流れる大きな流れが、交差したり分かれたりしていく 様子をつづった物語。ある人は流れに翻弄されながら、またある人は流れに逆らいながら、時間の流れに乗っていく彼ら彼女らのたどり着く先は果たして――
 
生活の中に根強く残る都市伝説や、ヒトの幹細胞を使って研究が進んでいる再生医療、そして徴兵制度など、生活の中のさまざまな話題を題材にした、連作短編計9作品。
 
いろんな「流れ」が交差して新しい「流れ」が生まれたとき、季節はずれの麦わら帽子は新しい持ち主を見つける――。
 

Prelude
九月望月餅搗きうさぎ
・十月の海と太陽
・十一月のターニングポイント
intermezzo・その空が表情を変える頃
・十二月、朱に染まる白
・一月のチャットログより
・二月の麦わら帽子
・finale
 
太字の作品はPDFで見本を見ることができます。
 
 

・そらごよみ特製フルカラーしおり
 
 
おかげさまで完売いたしました。

 

[2006年9月3日発行予定] 文庫版:216ページ:本体価格1000円 【発行:Starbottle